
68歳のひとり言
68歳になりました。
立派な肩書も、自慢できる財産も
大してありません。
不安ですか?
ありますよ。普通に。
でも——
70歳が見えてきて、やっと思うんです。
これからは
「何かを始める」より
「何をやめるか」だな、と。
① 時間のこと
40代、50代。
転勤やら何やらで、ずっと落ち着きませんでした。
ストレスも多かった。
生活も不規則。
そのツケでしょうね。
54歳で前立腺がんを宣告されました。
「ああ、人生終わるかもしれないな」
正直、そう思いました。
幸い、今こうして生きています。
会社では出世コースから外れ、窓際へ。
それでも定年まではやりました。
意地ですね。
再雇用の話もありました。
でも断りました。
「もう十分だろう。頑張ったよ、俺。」
やっと自分の時間が戻る——そう思ったんです。
ところが。
時間ができたら、落ち着かない。
予定がないとソワソワ。何もしていないと罪悪感。
長年しみついた
“会社員の癖”は抜けませんでした。
でも、ある時気づきました。
忙しかったんじゃない。
自分で自分を忙しくしていただけだ、と。
それから8年。
今は、何もしない日があります。
イラストを描いて、ギターを少し触って終わる日もある。
それでいい。
時間は、埋めるものじゃない。
味わうものだった。
70歳を前にやめたこと。
「役に立たなきゃいけない」という焦り。
② お金のこと
正直に言います。
お金があれば安心です。
これは本当。
でも、安心を買うために
今の時間を削りすぎるのは本末転倒。
リタイア直後は、通帳を何度も見ました。
「足りるのか?」
「やっぱり働くべきか?」
世間は言います。
「お金がないなら働け。」
ごもっとも。
でも、同じ働き方はもうできません。
体も気力も、昔とは違う。
気楽な仕事があればいいな、とは思いますが
今のところ巡り合えません(笑)。
だから考え方を変えました。
足りないかもしれない。
なら、その範囲で暮らしてみる。
増やすことより、減らすこと。
他人と比べない。
贅沢はできません。
でも孫と遊べて、
たまに外食できれば、まあ幸せです。
不安は消えません。
でも、不安ゼロを目指す人生より
不安があっても笑えるほうがいい。
70歳を前にやめたこと。
「安心を完璧にしようとすること」。
③ 人とのこと
リタイア直後、一番こたえたのは静けさでした。
電話も鳴らない。
誰とも話さない。
「あれ?俺、もう社会にいない?」
そんな感覚。
不安で、無理に予定を入れた時期もあります。
でも結局、疲れる。
会社を辞めてもまた“いい人”をやっている自分がいる。
だから、やめました。
無理な集まり。
気が進まない誘い。
孤独はあります。
でも、孤立とは違う。
一人で音楽を聴く時間。
色鉛筆でイラストを描く時間。
案外、悪くない。
無理なつながりより、
静かな時間のほうが今の自分には合っている。
70歳を前にやめたこと。
「必要とされなきゃいけない、という思い込み」。
そして今
68歳。
不安はあります。
でも——
役に立たなきゃ、をやめて。
完璧な安心を求めるのをやめて。
必要とされなきゃ、をやめたら。
少し、軽くなりました。
70歳を前に思うこと。
もう、無理しなくていい。
十分やっただろう。「お疲れ様、俺。」
これからは
足すより、減らす。
そのくらいで、ちょうどいい。