今回は、リタイア世代にとっての「断捨離」の有効性についてです。
断捨離とは、「単に不要な物を処分する意味だけではなく、物に執着せず身軽で快適な生活を目指す考え方」を指します。
つまり本当に自分にとって価値あるものかそうでないものかを選別・仕分けすることと定義できます。
そしてその目的は、生活全般を快適にする作業であり、やり始めると結構時間と手間がかかる作業でもあります。
「断捨離」の必要性は理解できても、いざ始めると収拾がつかなくなって途中で投げ出した・・・という経験がある人もいるかもしれません。
そういった「時間と手間」のかかる作業だけに、リタイアして比較的自由な時間が持てるようになった今が「断捨離」のベストタイミングだと思います。
中でも今回紹介する「人(交友関係)の断捨離」を真っ先にやることを勧めます。
Ⅰ.「人(交友関係)の断捨離」の凄い効用・効果を知る
詳しい話の前に、人の断捨離には大きく2つの効用があることを理解しましょう。
・無駄な付き合いに係る出費が減る
・人間関係のストレスが確実に減る
ただし、リタイアしたからといって勝手に行動や考え方が「断捨離」に向かうということは、絶対にありません!
自分自身が「断捨離」の必要性を理解し、実際に行動する以外ありません。
もう少し詳しく説明すると、これは「人の断捨離」に関係します。
つまり”馴れ合い”や”なんとなく”の付き合いをしてきた人との関係を断つことです。
・会社時代は我慢、我慢の付き合い酒
以前勤めた会社で定年を迎えるまでの数年間、筆者は会社・職場の付き合い酒は敬遠していました。
もともと付き合いが悪く、上司・同僚との関係も良くなかったので酒席に呼ばれなかったこともありますが。
一方、職場には上司の覚えめでたく毎回酒席に同行している同僚(後輩)がいました。
なんというか典型的な調子のいい男で、歯が浮くようなお世辞もさらっと出るし、立ち回りの上手い男でした。
筆者より年下でしたが、いつの間にか出世して自分の上司になってました(笑)。
しかし、たまにその彼と職場で(向かい合わせ)二人だけの時などに、疲れた表情で(小声で!)よく上司の愚痴を聞かされました。
引き上げてもらっておいて、何を文句言うとるんや!と少し呆れました。
しかし、良く聞いてみると、彼自身決して上司を尊敬するでも慕うでもなく、単に自分の出世と処遇改善のために無理な付き合いを重ねていたのです。
結果的に出世したから彼の努力は報われた…とも言えますが、無意味な(筆者にはそう見えました)酒席での時間とお金の浪費、おまけにアルコールとタバコで体を痛めつけたうえに最後はタクシー代使って夜中に帰宅。ようやるわ!!
コロナ以降、こんなバカげた酒席はなくなってきたようで喜ばしいことだと感じます。
・リタイアしてもお誘いは続く
会社を辞めて数年が経ちますが、度々同期会や元の職場の懇親会のお誘いが来ます。
後輩の転勤の壮行会や海外赴任からの帰国歓迎会など、すでにリタイアした身にもかかわらず現役時代さながらに参加の声掛けしてくる人もいます。
学生時代の同窓会(50年ぶり!)もあって、5年ごとに全学年開催や適時クラス会も開催されています。
これら全部、世話好きの幹事(数名)がやってくれています。
何十人(何百人!)の住所を調べて案内状を作成、郵送、会場(二次会も)の手配・・・考えただけでも面倒でやりたくないことを進んでやってくれるので、本当に有難いと感じ、頭が下がる思いです。
しかし、筆者はできるだけ出席しないようにしています。
理由は幹事さんには申し訳ないけど、シンプルに”楽しくないから”。
誤解を恐れずに言えば、ああいった場にやってくるのは「成功した生活に余裕のある」連中がほとんどです。
60歳を過ぎてもバリバリ仕事をしている医者や会社経営者、大手企業役員、天下り企業の名前だけ役員。。。等々素晴らしい経歴です。
同窓会など始まる前からあちこちで名刺交換が始まります。
名刺などない筆者など、相手にされず手持無沙汰でこの時点でもう帰りたくなります。
おまけに話してみるとみんな「腹立つくらい良い奴」なのがまた悔しい!(笑)。
そうです。
ご想像のとおりで、年金生活で彼らほど暮らしに余裕のない筆者としては、余裕と幸せ感満載で楽しそうに談笑する連中に対して「ひがみ根性」以外の何物でもない感情にどっぷりと支配されます。
ならば「人は人、自分は自分」と思えばいいじゃないか!と言われそうですが、人間そうそう簡単に割り切れるものじゃないです。
だから、筆者がとった解決策は「人(交友関係)の断捨離」です。
Ⅱ.人(交友関係)を断捨離(人的整理)する意味と意義
リタイアして一番変わったこと、かつ最も良かった事は、
「付き合う人を自分で選べる ≒ 嫌な奴、苦手な人とは付き合わない」
リタイアしてから、筆者はそれまで惰性で付き合っていた苦手な人、嫌いな人、合わない人との関係を整理することにしました。
といっても特に電話で「あなたとはもう付き合わない!」と伝えたわけではもちろんありません。
基本的にはSNS(Facebook、LINE)の友達を外したり、ステイタスを下げたりして自分との接点を徐々に減らしていきました。
※会社関係はすぐに外しました。少なくとも名前や顔に覚えがない人、1年以上連絡を取り合っていない人は友達から外していいと思います。また、コメントなしに友達申請してくる人も基本断っています。
常に誰かと繋がっていないと不安だ!…という人なら仕方ないですが、実際のところ自分自身、リタイアした後は会社関係で付き合う(たまに飲む関係)のは数人だけ。
それでも、もし仮に面倒な相手から連絡があっても適当に理由を作って断ればいい。
くだらない会社時代の自慢話やどうでもいい昔話をして、時間と金を無駄にすることはありません。無理して何時間もかけて不毛な会話をするために出かける必要も義理もありません。
もうそれで何かを失うことはないのです。
酒は「本当に飲みたい人」とだけ飲めば良いと思います。人生に残された大切な時間は自分にとって大切な人・家族・友人・恋人に使うべきです。
趣味の音楽関係でも付き合いが面倒な人や考え方が合わない人とは、同様のやり方で徐々に距離を置くようにしました。
結果は実に爽快です。
それに彼らとの関係を整理したからといって、何ら不便や不安もありません。
人生におけるストレスのかなりの部分がいわゆる”人間関係”に起因しています。
博報堂生活総研の2年に1度の定点調査「生活定点1992-2020」によると、最新(2020年度)の「ストレスを感じる理由は何ですか?」というアンケートに対する回答で”人間関係(職場・学校と家庭の合計)”が全体の73.2%を占めています!。
引用:「博報堂生活総研 生活定点1992-2020より」
詳細はこちらから→ 引用:ストレスを感じる理由は何ですか? [ストレスを感じる人のみ]
Ⅲ.最後に1点だけ気を付けよう ~大切な人は変わりがいない~
※ただし、1点だけ注意が必要です。
最初に話したように、断捨離とは、
「本当に自分にとって価値あるものか、そうでないものかを選別・仕分けすること」
でもあるのです。
それは人でも同じこと。自分にとって本当に大切な人を自ら失う愚は決してやるべきではありません。物なら買い直せば良いですが、人との関係はそうはいきません。
無神経な言動や振る舞い、相手の気持ちに思いが至らず心ならずも傷つけてしまう思慮浅い判断は決してやるべきではありません。
筆者も過去にそういった取り返しのつかない間違いをしてしまいました。
反省しても遅いのです。本当に大切な人は曇りのない澄んだ目で見つめるべきです。