欠点を指摘してくれる人は、自分の成長にとって重要な存在です。
しかし、相手の欠点(弱点)を本人に直接伝えることは、なかなか難しい。
指摘の仕方によっては、相手に不快な思いをさせたり、信頼関係を損なったりすることもあるからです。
厄介なことに指摘する側が親切心から行った行為であっても、受け取る側にとっては非難や中傷、場合によっては侮辱と受け取られかねないリスクがあるからです。
筆者も今までに何度となく失敗をやらかしてきました。
軽い気持ちでアドバイスしたつもりが相手を傷つけ、怒らせたりしたことも一度や二度ではありません。
逆に相手の心無い指摘に逆上して一方的に友人関係を解消したこともありました。
■指摘する際のリスクについて
そんな経験を踏まえて、人に対してアドバイスや欠点を指摘する際に気を付けることをまとめてみました。
最初に、相手の欠点を指摘する際に具体的にどんなリスクがあるでしょうか。
- 相手の気持ちやプライドを傷つける
- 相手の反発や怒りを買う
- 相手との信頼関係や友好関係を損なう
- 相手に自分の欠点や弱点を指摘される
人間は理性的である一方「感情の動物」でもあるので、常に理性的に振舞えるわけではありません。
ましてや、自分にとって耳の痛い話を聞かされたり、SNSで指摘されたりした場合は心中穏やかでないことは容易に想像できます。
そしてこれらのリスクは、相手の性格や状況、指摘の仕方によっては、大きくなることもあります。
そう考えると、無理に伝えず今のまま穏便に・・・という選択肢もあるかと思います。
しかし、それでもあえて勇気を出して相手に欠点を伝えることには、どんな意味や大切さがあるでしょうか?
その意味や大切さとは、以下のようなものが考えられます。
- 相手の改善や成長を促す
- 相手の問題や困難を解決する
- 相手の目標や夢を実現する
- 相手とのコミュニケーションや協力を深める
これらは、相手のことを思いやり、相手の立場に立って伝えることで、実現できる可能性が高まります。
さらに相手と自分が共通の目標・目的に向かう関係や立場にある場合はなおさら避けて通れないことです。(仕事や趣味:私の場合はバンド活動がそれにあたりますね)
再三申しているとおり、相手の欠点を伝えることは、相手のためになることですが、その伝え方によっては、相手に不快な思いをさせたり、関係を損なったりすることもあります。
だからこそ、伝え方に工夫や配慮が必要になってきます。
■指摘の際の5つのポイント
欠点を指摘する方法には、以下のように5つのポイントがあります。
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ポイント.1【指摘の目的】:欠点を指摘する目的は、相手の改善や成長を促すことであるべきです。単に相手のミスや弱点を責めたり、自分の優位性を誇示したりするような指摘は、相手に反発や落胆を与えるだけです。
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ポイント.2【指摘のタイミング】:欠点を指摘するタイミングは、相手が受け入れやすいときに選ぶべきです。相手が忙しいときや、周りの人の前で指摘するのは、相手のプライドを傷つけたり、集中力を乱したりする可能性があります。また、指摘は早めに行うことが望ましいです。指摘が遅れると、相手は自分のやり方に慣れてしまい、改善するのが難しくなります。
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ポイント.3【指摘の内容】:欠点を指摘する内容は、具体的で分かりやすいものであるべきです。抽象的な表現や感情的な言葉は、相手に混乱や不安を与えることがあります。また、指摘する内容は、相手が改善できる範囲に限るべきです。相手の性格や能力など、変えるのが難しいことを指摘するのは、相手を傷つけるだけです。
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ポイント.4【指摘の方法】:欠点を指摘する方法は、相手に尊敬や信頼を示すものであるべきです。相手を見下したり、攻撃したり、皮肉ったりするような指摘は、相手の反感を買うことがあります。また、指摘するときは、相手の良いところや努力も認めてあげることが大切です。相手に改善の余地や可能性を感じさせることで、指摘に対するモチベーションを高めることができます。
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ポイント.5【指摘後のフォロー】:欠点を指摘した後は、相手の改善の過程や結果をフォローしてあげることが大切です。相手に改善の方法や目標を提示したり、アドバイスやサポートを提供したり、改善したことを評価したりすることで、相手に指摘の意義や効果を実感させることができます。
■典型的な2つのタイプ
ここからは自分の経験を踏まえて、人にアドバイスや忠告をする人には大きく分けて2つのタイプがある前提に立って、それぞれの5つの側面から特徴を比較してみます。
2つのタイプというのは具体的には以下の2タイプです。
・相手に欠点だけを伝えてフォローの無い人
・相手を尊重し成長のためのアドバイスをする人
その特徴を比較しました。
タイプ | 相手に欠点だけを伝えてフォローの無い人 | 相手を尊重し成長のためのアドバイスをする人 |
---|---|---|
指摘の目的 | 相手のミスや弱点を責めたり、自分の優位性を誇示したりする | 相手の改善や成長を促す |
指摘のタイミング | 相手が忙しいときや、周りの人の前で指摘する | 相手が受け入れやすいときに指摘する |
指摘の内容 | 抽象的で分かりにくい表現や感情的な言葉を使う | 具体的で分かりやすい表現を使う |
指摘の方法 | 相手を見下したり、攻撃したり、皮肉ったりする | 相手に尊敬や信頼を示し、良いところや努力も認める |
指摘の後の対応 | 改善の方法や目標を提示しない、アドバイスやサポートを提供しない、改善したことを評価しない | 改善の方法や目標を提示する、アドバイスやサポートを提供する、改善したことを評価する |
この表から分かるように、
欠点を指摘する人とアドバイスしようとする人との違いは、相手に対する姿勢や配慮の有無にあると言えます。
欠点を指摘する人は、相手のことを考えずに自分の感情や評価を優先しています。
一方、アドバイスしようとする人は、相手のことを思いやり、相手の立場に立って指摘しています。
■最後に
欠点を指摘することは、相手のためになることです。
しかし、その指摘の仕方によっては、相手に不快な思いをさせたり、信頼関係を損なったりしては元も子もありませんね。
相手も自分もともに成長できるような関係を築いていくことがなにより重要です。
そのうえで、お互い切磋琢磨し成長・進化していくためのアドバイスや苦言を前向きに受け入れる度量と信頼関係を構築したいものです。
そのために今回お話したように、相手に対する尊敬や信頼を忘れずに、相手の改善や成長を促すことを目的としたうえで、アドバイスや指摘を勇気をもって行うべきです。